先に結論だけ
2026年(令和8年)の酉の市は、11月7日(土)の一の酉と11月19日(木)の二の酉の2回で、三の酉はありません。浅草の鷲神社・長國寺、新宿の花園神社、府中の大國魂神社の公式がそろってこの2日を告知しています。
時間は社ごとに違います。浅草の鷲神社は午前0時から24時(翌日の午前0時)まで、花園神社の本祭は正午頃から24時まで(前日は15時頃から前夜祭の露店)、大國魂神社は開門6時30分から22時までです。花園神社は18時以降、境内への入場を規制する場合があります。
熊手は、神社・寺が授ける小さな熊手守(かっこめ)と、熊手店で買う縁起熊手の2種類です。縁起熊手は値段を交渉し、値引き分をご祝儀として置き、手締めで締めるのが江戸からの「粋」な買い方とされますが、長國寺はご祝儀を「決まりではありません」と書いています。
当サイト(カンナビ)は2026年11月2日、浅草の鷲神社と長國寺、新宿の花園神社、府中の大國魂神社の公式サイトで今年の日程・時間・授与品を読み、由来は辞典と目黒区・足立区のページで確かめました。花畑の大鷲神社、横浜の金刀比羅大鷲神社、目黒の大鳥神社は公式の2026年の告知に届かなかったので、日程を断定していません。
この記事でわかること
- 2026年の日程: 一の酉・二の酉の日付と、浅草・新宿・府中の時間を公式の値で1つの表にしました。
- 酉の市とは何か: 酉の日の数え方、三の酉の年、由来の3つの説を辞典と社寺の公式で並べました。
- 熊手の受け方: かっこめと縁起熊手の違い、長國寺の授与料(2026年の一の酉から改定)、値切り・ご祝儀・手締めの作法、飾り方と納め方をまとめました。
- 行く前の注意: 混む時間、入場規制、人出の数字の読み方を、社寺の公式の注意書きから拾いました。
酉の市は開運と商売繁盛を願う祭りです。ほかに商売繁盛を祀る神社は商売繁盛の神社一覧(東京・京都・大阪・福岡の20社)で探せます。
酉の市とは?11月の酉の日に鷲・大鳥の社寺で開運と商売繁盛を願う祭り
酉の市は、11月の酉の日に鷲(おおとり)・大鳥の名を持つ神社や寺で開かれ、開運と商売繁盛を願う祭りです。
デジタル大辞泉は酉の市を「11月の酉の日に行われる鷲(大鳥)神社の祭り」とし、年により2回または3回あると説明しています。浅草の長國寺の公式も、酉の市を「開運招福・商売繁盛を願う祭り」で、江戸時代から続く代表的な年中行事だと書いています。境内や参道には縁起熊手を売る店が並び、熊手を求める人で夜通しにぎわいます。
一の酉・二の酉・三の酉とは何か
11月に来る酉の日を順に一の酉・二の酉・三の酉と呼び、年によって2回の年と3回の年があります。
長國寺の「酉の市Q&A」は、最初の酉の日が11月の始めに来れば3回、10日頃になれば2回になると説明しています。最初の酉の市は「初酉」とも呼びます。鷲神社の公式は、11月に酉の日が2回ある年は二の酉まで、3回ある年は三の酉まで執り行うと書いています。
もとは「酉のまち(酉の祭)」と呼ばれた
鷲神社の公式によると、酉の市は正しくは「酉の祭(とりのまち)」と呼ばれた神祭の日です。
祭りの日に市が立ったので、次第に「市」の字が当てられるようになったと、鷲神社は御由緒で説明しています。長國寺の公式も、江戸時代は「酉の町」「酉の祭」とも言われ、11月の最初の酉の日が重んじられたと書いています。
酉の市は俳句で冬の季語です。江戸の俳人 其角は「春を待つ 事のはじめや 酉の市」と詠みました。
長國寺はこの句を引いて、酉の市を「正月を迎える最初の祭り」と位置づけています。鷲神社の公式も、高浜虚子の「人並に押されてくるや酉の市」、正岡子規の「雑閙や熊手押あふ酉の市」などを挙げ、樋口一葉の『たけくらべ』に三の酉の年の鷲神社のにぎわいが描かれていることを紹介しています。
2026年の酉の市はいつ?一の酉11月7日(土)・二の酉11月19日(木)で三の酉はない
2026年(令和8年)の酉の市は11月7日(土)と11月19日(木)の2回で、三の酉はありません。
鷲神社の公式は「令和8年は、二の酉まで執り行われます」と書き、長國寺の公式も「本年は二の酉のため、11月7日(土)、19日(木)の開催予定」としています。花園神社と大國魂神社の2026年の告知も同じ2日です。
公式で日程を確かめた4か所
浅草の鷲神社・長國寺、新宿の花園神社、府中の大國魂神社は、どれも公式で2026年11月7日・19日の開催を告知しています。
| 社寺 | 一の酉 | 二の酉 | 時間(公式) | 公式の告知 |
|---|---|---|---|---|
| 鷲神社(台東区千束) | 11月7日(土) | 11月19日(木) | 午前0時〜24時(翌0時) | 今年の酉の市 |
| 長國寺(台東区千束・寺) | 11月7日(土) | 11月19日(木) | 0時〜24時(Q&A) | 浅草 酉の市 公式 |
| 花園神社(新宿区新宿) | 11月7日(土)本祭 | 11月19日(木)本祭 | 前夜祭 露店15時頃〜24時/本祭 正午頃〜24時 | 令和八年 大酉祭 |
| 大國魂神社(府中市宮町) | 11月7日(土) | 11月19日(木) | 開門6:30〜22:00/熊手市・露天9:00〜21:00頃 | 令和8年 酉の市について |
花園神社の前夜祭は一の酉が11月6日(金)、二の酉が11月18日(水)です。2026年11月2日に当サイトが各公式を読んでまとめました。
酉の日は12日ごとに巡ってくる
酉の日は十二支で日を数えたときの「酉」の日で、12日ごとに巡ってきます。2026年11月は7日と19日です。
19日の次の酉の日は12月1日で11月に入らないので、2026年は三の酉がありません。当サイトは2025年の酉の日(11月12日・24日。長國寺の2025年の案内と一致)から12日ごとに数えて、この2日を確かめました。
三の酉がある年はいつか
当サイトが12日ごとに数えると、次に三の酉がある年は2027年で、酉の日は11月2日・14日・26日です。
2024年は11月5日・17日・29日の三の酉まであり、長國寺の公式にも「令和6年最後の酉の市」として29日の三の酉の案内が残っています。2027年の日付は暦から数えた値で、社寺の告知ではありません。開催は翌年の秋に各社寺の公式で確かめてください。
浅草の酉の市|鷲神社と長國寺(酉の寺)が隣り合って開く
浅草の酉の市は、台東区千束の鷲神社と、その隣の法華宗の寺 長國寺(酉の寺)の2か所が中心です。
鷲神社は「おとりさま」と呼ばれる神社で、長國寺は「浅草田圃 酉の寺」を名乗る寺です。境内は隣り合っていて、熊手店や露店は2つの境内とその周りの道に並びます。神社と寺の違いはお寺と神社の違いを各宗派と神社本庁の資料で確かめた記事にまとめています。浅草寺の隣の浅草神社とは別の社なので、浅草神社(三社さま)の案内と取り違えないようにしてください。
| 項目 | 鷲神社(おとりさま) | 長國寺(酉の寺) |
|---|---|---|
| 種別 | 神社(祭神 天日鷲命・日本武尊) | 寺(法華宗 鷲在山 長國寺) |
| 2026年 | 11月7日(土)・19日(木) | 11月7日(土)・19日(木) |
| 時間 | 午前0時〜24時(翌0時) | 0時〜24時。前日19時頃から一部の露店 |
| 授与品 | 熊手御守(かっこめ)は酉の市だけ | かっこめ熊手守り1,200円など(2026年の一の酉から改定) |
| 祈願・祭儀 | ご祈願 玉串料5,000円より・当日随時 | 公式の酉の市ページに記載なし |
| 所在地 | 台東区千束3-18-7 | 台東区千束3-19-6 |
長國寺の授与品と額は、浅草 酉の市 公式のお守りのページで2026年11月2日に確かめた値です。
鷲神社は午前0時の一番太鼓から24時間開く
鷲神社の酉の市は、酉の日の午前0時に打ち鳴らす「一番太鼓」を合図に始まり、24時まで丸一日続きます。
公式の「今年の酉の市」は開催時間を「午前0時から午後24時まで」と書いています。長國寺のQ&Aは、酉の日の0時に始まり、酉の日の24時、つまり次の日の0時に終わると説明しています。夜を越して翌朝まで続く祭りではありません。0時の一番太鼓と同時に授ける熊手御守(かっこめ)を最初に受けた人には「一番札」が渡され、24金・純金の小判根付けと交換されます。公式は「一番福3本限定」と書いています。
宵宮開運福寿祭・鷲祭特別祭儀とご祈願
鷲神社では、酉の日の前夜23時15分から宵宮開運福寿祭、当日13時から鷲祭特別祭儀が斎行されます。
2026年は宵宮が11月6日(金)・18日(水)、特別祭儀が11月7日(土)・19日です。参列は事前予約制で、玉串料10,000円より・各回36名です。公式の祈願申込のページでは、一の酉の宵宮と特別祭儀はどちらも「満員の為 受付終了」、二の酉の事前受付は11月12日17時までです。なお「今年の酉の市」のページは二の酉の特別祭儀を「11月19日(水)」と書いていますが、2026年11月19日は木曜日で、祈願申込のページは「令和8年11月19日(木)」としています。
社殿に上がる酉の市ご祈願は、玉串料5,000円より、1祈願5名までです。公式は「酉の市当日は 予約の有無に拘わらず 随時ご祈願受付を行っております」と書いていて、当日は受付順に案内されます(鷲神社 祈願申込)。
長國寺は「酉の寺」として江戸から続く
長國寺は、鷲妙見大菩薩(鷲大明神)を迎えた明和8年(1771年)頃から酉の市で知られるようになった寺です。
長國寺の公式によると、江戸時代は長國寺が別当をつとめた浅草の鷲大明神の酉の市を「新の酉」と呼び、新吉原に近いこともあって一躍にぎわいました。いまは神社の鷲神社と寺の長國寺が、それぞれの境内で酉の市を開いています。2つに分かれた経緯は、両者の公式の酉の市のページには詳しく書かれていません。
浅草の鷲神社・長國寺への行き方
最寄りは東京メトロ日比谷線の入谷駅で、鷲神社の公式は北口3番出口から徒歩約7分としています。
ほかに、つくばエクスプレスの浅草駅から徒歩約8分、東京メトロ銀座線の田原町駅から徒歩約15分、JRの鶯谷駅南口から徒歩約20分です(鷲神社 アクセス)。都バスや台東区循環バス「めぐりん」も使えます。浅草寺のある雷門の周りからは少し北へ離れているので、地図で場所を確かめてから向かってください。
新宿 花園神社の大酉祭|前夜祭と本祭の2日ずつ
花園神社の酉の市は「大酉祭」と呼ばれ、2026年は前夜祭と本祭を一の酉・二の酉でそれぞれ行います。
花園神社の公式「令和八年 大酉祭」(2026年10月7日掲載)は、次の日時を告知しています。神社の祭神やご利益は花園神社の案内にまとめています。
| 日 | 行事 | 時間(公式) |
|---|---|---|
| 11月6日(金) | 一の酉 前夜祭 | 露店 15時頃〜24時 |
| 11月7日(土) | 一の酉 本祭 | 正午頃〜24時 |
| 11月18日(水) | 二の酉 前夜祭 | 露店 15時頃〜24時 |
| 11月19日(木) | 二の酉 本祭 | 正午頃〜24時 |
花園神社では、本祭の前日の前夜祭から露店が開き、公式は期間中に約260店が出店すると書いています。
提灯の消灯は前夜祭・本祭とも24時頃です。花熊手は本祭でのみ数量限定で頒布されます。また、この日程の間、御朱印は書き置きのみの授与です。御朱印のいただき方は御朱印とは何かを神社庁と神社の原文で確かめた記事を見てください。
18時以降は境内への入場を規制する場合がある
花園神社の公式は「混雑時(18時以降)には境内への入場を規制する場合があります」と注意しています。
花園神社は新宿三丁目駅のE2出口から徒歩0分、新宿駅東口から徒歩7分です。公式が規制の時間として挙げるのは18時以降なので、熊手をゆっくり選びたいなら、本祭の日の昼か、前夜祭の夕方までに行くとその時間帯を避けられます。
府中 大國魂神社の酉の市|開門6:30〜22:00
大國魂神社の酉の市は、2026年11月7日(土)と19日(木)で、開門は6時30分から22時までです。
公式の「令和8年 酉の市について」によると、期間中は熊手商・露天商が境内に並び、熊手市・露天は9時から21時頃の予定です(店により異なります)。大國魂神社は武蔵国の守り神で、京王線府中駅・JR府中本町駅から徒歩5分です。社の由緒は大國魂神社の案内にまとめています。
神符熊手と大鷲神社御札は酉の市の当日だけ
大國魂神社は酉の市の当日に限り、社頭で神符熊手と大鷲神社御札を頒布し、無くなり次第終了です。
頒布の時間は開門と同じ6時30分から22時までです。額は公式の酉の市のページに書かれていません。境内の大鷲神社の御札なので、朝の参拝のついでに受けられます。
大國魂神社では、酉の市の日に江戸の里神楽の奉納が15時・17時・19時の3回あります。
煙火(花火)は8時・12時・18時に各3発上がります。都心の酉の市と違って、夜中の0時に始まる形ではなく、朝から夜までの時間で開かれるのが府中の特徴です。
大鷲神社・大鳥神社の酉の市|花畑・横浜・目黒は公式で確認を
足立区花畑の大鷲神社、横浜の金刀比羅大鷲神社、目黒の大鳥神社も酉の市で知られますが、2026年の告知は公式に届きませんでした。
暦の上の2026年の酉の日は11月7日と19日です。開催の有無と時間は、各社の公式や社務所で確かめてください。鷲神社の公式は、都内では現在10数か所で酉の市が開かれていると書いています。
| 社寺 | 所在地 | 2026年の確認 | 公式などに書かれていること |
|---|---|---|---|
| 鷲神社 | 台東区千束 | 公式で確認(7日・19日) | 0時〜24時。熊手店約150・露天約750(神社の説明) |
| 長國寺 | 台東区千束 | 公式で確認(7日・19日) | かっこめ熊手守り。2026年10月に授与料を改定 |
| 花園神社 | 新宿区新宿 | 公式で確認(7日・19日) | 前夜祭6日・18日。約260店(神社の告知) |
| 大國魂神社 | 府中市宮町 | 公式で確認(7日・19日) | 開門6:30〜22:00。神符熊手は当日だけ |
| 大鷲神社 | 足立区花畑 | 公式に届かず | 長國寺は酉の市の始まりの地とする |
| 金刀比羅大鷲神社 | 横浜市南区真金町 | 公式に届かず | 2025年は11月12日・24日(横浜市観光情報) |
| 大鳥神社 | 目黒区下目黒 | 公式に届かず | 目黒区は天保6年(1835年)からの酉の市とする |
2026年11月2日時点。「公式に届かず」は、当サイトが神社の公式サイトを見つけられなかった、または2026年の告知が載っていなかったものです。
花畑の大鷲神社は「本の酉」と呼ばれた
足立区花畑の大鷲神社は、長國寺の公式が「酉の市の始まり」とし、江戸時代に「本の酉」と呼ばれた社です。
長國寺の公式によると、江戸時代は花又村(いまの花畑)を「本の酉」、千住の勝専寺を「中の酉」、浅草を「新の酉」と呼びました。鷲神社の公式は同じ3か所を「上酉」「中酉」「下酉」とし、明治に勝専寺の酉の市が閉じて、花畑と浅草が江戸時代から続く酉の市になったと書いています。足立区のページは、区内では花畑の大鷲神社と島根の鷲神社で酉の市が行われるとしています。
横浜の金刀比羅大鷲神社
横浜市南区真金町の金刀比羅大鷲神社は、横浜で酉の市が開かれる社として市の観光情報に載っています。
横浜市の観光情報サイトに載っていたのは2025年の日程(11月12日・24日)で、2026年の告知は当サイトが確かめた時点で見つかりませんでした。暦の上では11月7日・19日が酉の日です。
目黒の大鳥神社は天保6年から
目黒区の歴史のページは、目黒の大鳥神社の酉の市を天保6年(1835年)11月に始まったものとしています。
下目黒の造り酒屋 大国屋與兵衛が浅草から熊手を取り寄せたのが始まりで、もとは付近の農民が野菜や実用品を売る市だったと目黒区は書いています。大鳥神社は日本武尊を主祭神とする区内最古の神社です。「鷲」「大鳥」「大鷲」はどれも「おおとり」と読み、関西では堺の大鳥大社が大鳥の名の社として知られます。東京の神社は東京都の神社一覧から探せます。
「関東三大酉の市」は公式の呼び名ではない
「関東三大酉の市」は解説記事で使われる呼び名で、当サイトが読んだ社寺の公式には、それを名乗る文言はありませんでした。
旅行メディアの解説記事には浅草の鷲神社・新宿の花園神社・府中の大國魂神社の3つを挙げるものがありますが、鷲神社の公式は自社の酉の市を、規模・賑わいとも「日本一を誇っています」と書いています。どれを三大とするかに決まった出典は無いので、この記事では順位を付けていません。
酉の市の由来|収穫祭・日本武尊・鷲宮神社の3つの説
酉の市の始まりには、農民の収穫祭とする説、日本武尊の社伝、埼玉の鷲宮神社の信仰に始まるとする辞典の説の3つがあります。
どれか1つに決める資料は見つからなかったので、それぞれの出典と中身を並べます。
| 説 | 中身 | 出典 |
|---|---|---|
| 花又村の収穫祭 | 花又村(足立区花畑の大鷲神社)で、近在の農民が鎮守の鷲大明神に感謝した収穫祭。鶏を奉納し、祭りのあと浅草寺の観音堂前に放した | 長國寺「酉の市とは」 |
| 日本武尊の熊手 | 日本武尊が東夷征討の帰りに社前の松に武具の熊手をかけて勝ち戦を祝った日が11月の酉の日で、例祭日になった | 鷲神社「御由緒」(社伝) |
| 鷲宮神社の信仰 | 関東の鷲神社は埼玉県久喜市の鷲宮神社が本社で、その社を中心とする酉の日精進の信仰が酉の市の始まりのようだ | 日本大百科全書(コトバンク) |
花又村の収穫祭から浅草へ
長國寺の公式は、酉の市の始まりを花又村の農民の収穫祭とし、にぎわいが後に浅草へ移ったと書いています。
花又村の社前では年末の辻賭博が開かれてにぎわいましたが、安永年間に出された賭博禁止令を境に、盛況は浅草へ移っていきました。足立区のページは、酉の市を庚申待ち・二十三夜待ちと同じ「日待ち」の行事の一種であろうと書き、鶏を鷲大明神に奉納して市のあと浅草寺へ運んだ話を伝えています。
日本武尊と熊手の社伝
鷲神社の社伝では、日本武尊が戦勝のお礼に熊手を社前の松にかけた日が11月の酉の日で、これが酉の市の起こりです。
この故事から鷲神社は日本武尊をあわせて祀っています。目黒区のページも、酉の市が酉の日に行われるのは、景行天皇紀に日本武尊を遣わして熊襲を討たせた日が「己酉」とあるためといわれる、と書いています。
鷲宮神社の信仰に始まるとする辞典の説
日本大百科全書は、関東の鷲神社の本社を埼玉県久喜市の鷲宮神社とし、その酉の日精進の信仰が酉の市の始まりのようだと書いています。
同じ項は、鷲神社の本社を大阪府堺市の大鳥神社とする見方がある一方、関東の鷲神社との関係は明らかでないとも書いています。鷲宮神社の公式サイトは当サイトの確認時に開けず、酉の市について神社自身の説明は確かめられませんでした。
熊手守(かっこめ)と縁起熊手の違い
酉の市の熊手には、神社や寺が授ける小さな熊手守(かっこめ)と、熊手店で買う飾りの多い縁起熊手の2種類があります。
鷲神社の公式は、まず神社の御札である熊手御守を受け、そのあと縁起熊手を求めて家庭や神棚にお祀りするのが一般的だと書いています。鷲神社は、酉の市は昔のように商売をする人だけのものではなくなってきたとし、家内安全・健康・恋愛成就など、さまざまな願いを熊手に託せると書いています。金運を祀る神社は金運神社の一覧(公式を確かめた31社)と金運の神社一覧にまとめています。
かっこめは酉の市だけの授与品
鷲神社の熊手御守は「かっこめ」「はっこめ」と呼ばれ、公式は「酉の市」のみに授与すると書いています。
長國寺のかっこめ熊手守りは、小さな竹の熊手にたわわに実る稲穂を付けたお守りで、「福をかっ込む」という江戸っ子らしい洒落の名だと長國寺は説明しています。江戸時代には髪や襟首に差すと強運に恵まれるといわれ、『東都歳事記』の絵にも描かれています。
長國寺の授与料(2026年の一の酉から改定)
長國寺は2026年10月3日、原材料費などの高騰で「本年一の酉より一部お守りの授与料を改定」すると告知しました。
改定は2026年11月7日の一の酉からで、告知は改定後の額をお守りのページで確かめるよう案内しています。2026年11月2日に当サイトがそのページで読んだ額(告知が改定後の額として案内しているもの)は次のとおりです。どのお守りが値上がりしたかは公式に書かれていません。
| お守り | 授与料(1つ) |
|---|---|
| かっこめ熊手守り | 1,200円 |
| 開運大熊手守り | 3,000円 |
| 金運大熊手守り | 3,500円 |
| 鷲妙見かっこめ守り(限定授与) | 1,800円 |
| 金運かっこめ守り | 1,400円 |
| 開運置型熊手 | 1,800円 |
| 交通安全守り・良縁守り・学業守り・小判守り | 各800円 |
出典は長國寺 お守りのページとお守り授与料改定のお知らせです。鷲神社の熊手御守の額は、鷲神社の公式の酉の市のページに載っていませんでした。
熊手店の縁起熊手の値段
縁起熊手の値段は店と大きさで違い、鷲神社の公式は「小さい物は1,000円から」と書いています。
同じページは、大きな物では何十万円もする熊手があり、売れ筋は20,000円〜50,000円位「らしい」と伝聞の形で書いています。付ける飾り物の種類や数によって、同じ大きさでも値段が変わります。縁起熊手は社寺の授与品ではなく熊手店の商品なので、値段は店ごとの交渉で決まります。
八頭・切山椒・黄金餅も酉の市の縁起物
鷲神社の公式は、熊手のほかに八頭・切山椒・黄金餅を酉の市の縁起物として挙げています。
八頭(やつがしら)は「頭の芋」とも呼ばれ、人の頭に立つように出世でき、1つの芋からたくさんの芽が出るので子宝に恵まれる縁起物です。切山椒は上新粉に砂糖と山椒を加えた餅菓子で、黄金餅は粟餅の別名です。鷲神社によると、境内で八頭を商う店も切山椒の店も、今はそれぞれ1軒だけになりました。
熊手の買い方|値切り・ご祝儀・手締め
縁起熊手は、境内を一回りして選び、値段を交渉し、値引き分をご祝儀として置き、手締めで締めるのが「粋」な買い方とされます。
鷲神社の公式の「酉の市豆知識」は、まずデザインと予算を決め、境内をぐるっと一回りすることを勧めています。そのうえで、熊手屋さんとの「駆け引き」を楽しむ流れです。
値切りとご祝儀は「粋」の慣習で、決まりではない
値引きしてもらった分をご祝儀として店に置くのは江戸からの慣習で、長國寺は「決まりではありません」と書いています。
鷲神社の公式は「どれだけ値切れるかは腕しだい」としつつ、昔は値切った分だけ「ご祝儀」として店に置いてくるのが粋な熊手の買い方とされた、と説明しています。長國寺のQ&Aも、値段のやり取りを楽しんだあと、支払うときに値引き額を祝儀にするのが「粋」とされたと書き、祝儀は「あくまでも慣習であって、決まりではありません」と添えています。値引きの交渉をせずに表示の値段で買っても、失礼にはあたりません。
手締めで商いの成立を祝う
鷲神社の公式は、熊手の商談が成立したあとに、商いの成立を祝う「手締め」を行うと説明しています。
鷲神社の公式は、商いの成立を意味する手締め(手終い)を行い、家庭や会社の弥栄(いやさか)を祈ると書いています。締め方の形(一本締め・三本締めなど)を社寺の公式が決めている記載はありませんでした。
最初は小さい熊手から、毎年少しずつ大きく
鷲神社の公式は、熊手は最初は小さい物から始め、家や会社の繁栄に合わせて徐々に大きくするといわれる、と書いています。
毎年必ず大きくしなければならないという決まりは、当サイトが読んだ公式にはありませんでした。鷲神社は、何の酉にお参りしても御利益は変わらないとも書いています。置き場所に合う大きさを選ぶのが現実的です。
熊手の飾り方と古い熊手の納め方
熊手は玄関などの少し高いところに北向きを避けて飾り、古い熊手は翌年の酉の市の納め所へ納めるのが基本です。
長國寺の「酉の市Q&A」は、最適な場所を玄関とし、福を取り込みやすいように入口へ向けて少し高いところに飾ると書いています。玄関以外なら、熊手の正面を南・東・西などに向けて室内の高いところに置きます。条件に合わないときは、いちばん収まりのよい場所にやや高く飾ればよいとしています。
熊手守は神棚や仏壇にまつってもよい
社寺で授かった熊手守は、神棚や仏壇があればそこにまつるのもよいと長國寺は書いています。
鷲神社も、熊手御守を家庭や神棚にお祀りするのが一般的としています。神棚での並べ方は神棚のお札の並べ方の記事に、神棚が無い家の置き方は神棚がない場合の記事にまとめています。
古い熊手は酉の市の納め所へ
古い熊手は、翌年の酉の市に持っていき、会場の熊手納め所に納めるのが基本です。
浅草では長國寺の山門前と鷲神社の入口に納め所があり、長國寺は納められた熊手を時間ごとに浄めていると書いています。納められなかったときは、小さなものなら近くの社寺のお焚き上げにお賽銭を添えて納め、大きなものは感謝してから自治体の分別のルールに従って分解して処分するよう長國寺は案内しています。浅草以外の酉の市では、熊手納めの扱いを開催する社寺に尋ねてください。
三の酉の年は火事が多い?俗信の理由
「三の酉の年は火事が多い」という言い伝えがありますが、鷲神社は「由縁はよく分かっていない」と書いています。
長國寺のQ&Aも、昔から「三の酉の年には火事や吉原に異変が起こる」といわれ、理由は諸説あるとしています。日本大百科全書にも、三の酉のある年は火事に気をつけろという言葉が載っています。2026年は三の酉が無い年です。
鷲神社が挙げる3つの説
鷲神社の公式は、三の酉と火事を結びつける説として、火への戒め・鶏の俗信・明暦の大火の3つを挙げています。
- 火への戒め: 三の酉の頃は寒さが増して空気が乾き、火を使う機会が増えるので、火の用心を促したという説。
- 鶏の俗信: 地方で、宵に鳴かない鶏が鳴くと火事が出るといわれたことから出たという説。鶏は神の使いとされていました。
- 明暦の大火: 明暦3年(1657年)1月18日の明暦の大火の前年、明暦2年の酉の市が三の酉で、江戸は80日近く雨が降らなかったという説明。
3つ目は鷲神社が『風俗画報』や『武江年表』を引いて書いている説明で、当サイトは明暦2年の暦を別の資料では確かめていません。長國寺は三の酉の年だけ「火除守り」を特別に授与しています。
行く前に知っておきたいこと|混む時間・人出・何の酉に行くか
2026年の一の酉は土曜日です。浅草の長國寺は2025年に「昨年よりも多く」の来場を見込んで、山門前の並び方を変えました。
長國寺の公式「令和7年度 酉の市 ご来場の皆さまへのお願い」は、混雑時の山門前の待機列を、国際通りに沿ってまっすぐ並ぶ形から、手前で折れ曲がる形に変えたと案内しています。当日はスタッフの案内に従って並びます。花園神社は18時以降の入場規制がありうると告知しています。
| 社寺 | 公式に書かれている混雑の注意 | 避けやすい時間の目安 |
|---|---|---|
| 鷲神社・長國寺(浅草) | 山門前の待機列はスタッフの案内に従う(2025年に並び方を変更) | 開催時間が0時〜24時と長いので、昼の時間帯に分ける |
| 花園神社(新宿) | 混雑時(18時以降)は境内への入場を規制する場合あり | 本祭の昼、前夜祭の夕方まで |
| 大國魂神社(府中) | 神符熊手・大鷲神社御札は無くなり次第終了 | 開門の6時30分からの早い時間 |
「避けやすい時間の目安」は公式の注意から当サイトが読み取ったもので、当日の混み具合を測った値ではありません。
人出の数字は「神社の説明」として読む
鷲神社の公式は、浅草の酉の市の人出を「毎年70万人〜80万人」と説明していますが、特定の年の集計値ではありません。
同じページは熊手店約150店舗・露天約750店とも書いていて、これも神社の説明です。年ごとの人出を公的機関が集計した資料は、当サイトの確認では見つかりませんでした。報道の人出の見込みは発表元を確かめられなかったので、この記事には載せていません。花園神社の約260店は花園神社の告知で、鷲神社の数と同じ数え方かは分からないので、並べて比べないでください。
何の酉に行っても御利益は同じ
鷲神社の公式は「何の酉にお参りしても御利益は変わりません」と書き、都合のよい日の参拝を勧めています。
江戸の頃は一の酉が重んじられ、次第に二の酉・三の酉まで行われるようになったと鷲神社は説明しています。人出を日ごとに比べた資料はありませんが、土曜や夜を避けたい人には、平日の11月19日(木)の二の酉の昼という選び方もあります。お参りの手順は神社のお参りの仕方の記事に、複数の社寺を回る順番は神社巡りプランナーで組めます。遠方から泊まりがけで行く人は、東京の宿をここから探せます。
よくある質問
Q. 2026年の酉の市に三の酉はある?
A. ありません。2026年11月の酉の日は7日と19日で、次の酉の日は12月1日です。鷲神社は「令和8年は、二の酉まで執り行われます」、長國寺は「本年は二の酉のため」と公式に書いています。三の酉の年だけ授与される長國寺の「火除守り」も、今年は対象外になります。
Q. 酉の市は夜中の何時まで開いている?
A. 浅草の鷲神社は酉の日の午前0時から24時(翌日の午前0時)までです。長國寺のQ&Aによると、長國寺の近くの縁起熊手の店には、翌日の深夜1時30分頃まで買える店もあります。花園神社の本祭は24時まで、大國魂神社は22時に閉門します。
Q. 熊手は毎年買い替えないといけない?
A. 社寺の公式に「毎年買い替えなければならない」という決まりは書かれていません。浅草では、翌年の酉の市に前年の熊手を持っていって納め所に納め、新しい熊手を求めるのがよいとされます。行けない年は、小さな熊手なら近くの社寺のお焚き上げに納められると長國寺は案内しています。
Q. 熊手の値段を値切らないと失礼?
A. 失礼ではありません。長國寺は、値引き分をご祝儀として置くのは「あくまでも慣習であって、決まりではありません」と書いています。長國寺のQ&Aは、今は熊手店が値段を決めて示してくることも多く、売り買いは「ケースバイケース」のようだとも書いています。
Q. 酉の市でも御朱印はいただける?
A. いただけますが、社によって扱いが変わります。花園神社は大酉祭の日程の間、御朱印を書き置きのみで授与すると公式に書いています。鷲神社・長國寺・大國魂神社の酉の市の当日の御朱印の扱いは、各社の酉の市のページに書かれていなかったので、受付で確かめてください。
Q. 酉の市は開運日や一粒万倍日と関係がある?
A. 酉の市は十二支の酉の日で決まる祭りで、天赦日や一粒万倍日などの暦の吉日とは別の数え方です。開運日の数え方と2026年のカレンダーは開運日の記事にまとめています。
まとめと参考にした資料
2026年の酉の市は11月7日(土)・19日(木)の2回で、三の酉はありません。
浅草の鷲神社は0時から24時、花園神社の本祭は正午頃から24時、大國魂神社は6時30分から22時です。
熊手は、社寺の熊手守(かっこめ)と熊手店の縁起熊手の2種類で、値切り・ご祝儀・手締めは江戸からの慣習です。花畑・横浜・目黒の酉の市は、公式や社務所で今年の日程を確かめてから出かけてください。酉の市が終わると、次の年中行事は初詣です。行き先は初詣のおすすめの記事で比べられます。
- 浅草 鷲神社 公式:今年の酉の市・祈願申込・御由緒・酉の市豆知識・アクセス
- 浅草 酉の市 公式(長國寺):お知らせ・酉の市とは・お守り・酉の市Q&A
- 花園神社 公式:令和八年 大酉祭・アクセス
- 大國魂神社 公式:令和8年 酉の市について
- 目黒区「大鳥神社」:酉の市の始まり(天保6年)
- 足立区「酉の市」:区内の酉の市と日待ち
- コトバンク「酉の市」:デジタル大辞泉・日本大百科全書
